呉市立美術館
浮世絵にみる 江戸美人のよそおい展 | 近現代の美術作品を所蔵し特別展も開催|呉市立美術館

開館時間

●10時〜17時
(入館は16時30分まで)

休館日

●毎週火曜日
(火曜が祝日・振替休日の場合は、その翌日)
●年末・年始(12月29日〜1月3日)
※展示替え等で臨時に休館する場合があります
 
は休館日
 
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特別展

浮世絵にみる 江戸美人のよそおい展

2019年11月2日(土)〜12月15日(日)

 江戸時代は現代と比較すると制約の多い時代であり、庶民の身だしなみについても厳しいルールがありました。髪型や化粧を見れば、その人の身分や職業、未婚・既婚、年齢なども判断することができたといいます。また、女性の化粧の基本は、紅化粧の赤、白粉(おしろい)の白、そしてお歯黒や眉化粧の黒という三色のみに限られていましたが、浮世絵に描かれた女性たちのよそおいを見ると、社会的制約の中でも自分なりの工夫をこらしておしゃれを楽しんでいた様子がうかがえ、化粧が生活の中で重要な位置を占めていたことがわかります。
 本展では、化粧文化に関する幅広い研究で知られるポーラ文化研究所が所蔵する浮世絵美人画の名品77点により、まずは、江戸時代の女性たちの化粧風俗や流行を概観します。さらに、画中に描かれ実際に使用されていた、紅板や櫛、かんざしなどの化粧道具や装身具のほか、衣装や婚礼道具などの優品約85点を併せてご紹介します。
 江戸美人たちの、粋で華麗な化粧や装いの文化から、美しさに対する心意気を感じることができるでしょう。
会期2019年11月2日(土)〜2019年12月15日(日)
開館時間10時〜17時(入館は16時30分まで)
休館日火曜日
入館料一般前売800円
一般1,000円(800円),高大生600円(500円),小中生400円(300円),敬老割500円
※( )内は20名以上の団体料金,親子料金(小中生と保護者が入館する場合)
敬老割は呉市在住の70歳以上(要証明書)
障害者手帳等お持ちの方は無料(要証明書)
前売場所
(6月1日より販売開始)
電子チケットぴあ(Pコード:769−559)
ローソンチケット(Lコード:61331)セブンチケット、ファミリーマート、Famiポート、広島市内の主なプレイガイド、中国新聞社読者広報部、中国新聞販売所(取り寄せ)、夢ぷらざ、ゆめタウン呉、生協ひろしま、呉市内の主な画材店など
主催呉市立美術館、呉市、呉市文化振興財団、中国新聞社
後援NHK広島放送局、中国放送、広島テレビ、広島ホームテレビ、テレビ新広島、広島エフエム放送、FMちゅーピー76.6MHz、FM東広島89.7MHz
特別協力ポーラ文化研究所
企画協力アートプランニングレイ

展示のみどころ

ポーラ文化研究所の所蔵する浮世絵美人画からみる、江戸女性たちの化粧やくらし

溪斎英泉《美艶仙女香》
文化12(1815)〜天保13(1842)年ごろ
ポーラ文化研究所蔵
本展では、洋の東西を問わず化粧文化や風俗について包括的な研究活動を行っているポーラ文化研究所が所蔵する、歌川国芳、歌川国貞、溪斎英泉らによる浮世絵美人画の名品から「江戸美人のよそおい」というテーマに沿った77点をご紹介します。
浮世絵は写真や映像が残されていない江戸時代の暮らしや流行について、現代の私たちに生き生きと伝えてくれる貴重な資料です。江戸時代の女性たちの化粧や髪型は、身分や職業、未既婚の別などによって決まっており、使用する色も白粉化粧の「白」、紅化粧の「赤」、眉化粧やお歯黒化粧の「黒」に限られていました。それでも女性たちは、様々な工夫を凝らしてそれぞれのおしゃれを楽しんでいた様子が浮世絵から伝わってきます。
例えば溪斎英泉による《美艶仙女香》では、若い芸者が真剣な表情で、右手に鏡、左手に刷毛を持って頬に白粉を塗っています。当時は「白い肌は七難かくす」といわれ、肌の白さは美人の条件と考えられていました。そのため女性たちは顔や首に白粉を塗って、色白に見せていたのです。この美人画は、当時販売されていた同名の白粉の製造者と版元のタイアップにより制作されたと考えられます。
美人画に描かれた江戸女性たちの活気あふれる姿から、彼女たちの美を追求する心意気を感じとることができます。

歌川豊国《春雨豊夕栄》
安政2(1855)年
三枚続きの中央部分
ポーラ文化研究所蔵
《春雨豊夕栄》歌川豊国 安政2(1855)年 (三枚続きの中央部分)
江戸時代になり、従来は垂らしていた長い髪を結い上げるようになり、結髪(けっぱつ)法が発展しました。自分で髪が結えることが女性の基本的な教養であり、嗜みでしたが、結髪法の多様化、高度化、複雑化や流行の変遷とともに、自分で髪を結うことが困難になり、江戸中期(一説に明和期(1764〜1772年)頃)に、髪結を生業とする女髪結(おんなかみゆい)が登場しました。女髪結の登場がさらに結髪の多様化に拍車をかけ、江戸時代に結われた日本髪は数百種類にも及ぶと言われます。富裕層のみならず、一般庶民も女髪結に結ってもらうようになりました。きれいになりたい一心の女性たちの気持ちを反映して、歌舞伎役者や遊女を手本に、髪形や髪飾りはますます技巧的に華美になっていきました。江戸幕府はこうした贅沢・奢侈をたしなめるために女髪結を禁止する御触れをしばしば出すほどでした。
本作では女髪結のきびきびとした仕事ぶりが活写されています。

三代歌川豊国
《江戸名所百人美女 霞ヶ関》
安政4(1858)年
ポーラ文化研究所蔵
三代歌川豊国《江戸名所百人美女 霞ヶ関》安政4(1857)年
霞が関は江戸でも代表的な大名屋敷が建ち並ぶところで、こま絵には右側に福岡藩黒田家の上屋敷、左側に広島藩浅野家の上屋敷が描かれています。四季の花々を散りばめた豪華な打掛を羽織った女性は大名家の姫君でしょうか。髪は未婚の女性が結う島田髷(しまだまげ)で銀と思われるびらびら飾りの付いた桜の花簪(はなかんざし)を前髪左右に差し、べっ甲と思われる櫛と後ろ挿し(うしろざし、簪)も挿しています。衣装に家紋が描かれてないので確(しか)とはわかりませんが、尾張徳川家から広島浅野家に嫁いだ利姫かもしれません。一般女性が身に付けることのできない豪華な衣装や髪飾りは女性の憧れの的だったことでしょう。


永嶋孟斎
《新吉原三浦屋の高尾 頼兼君みうけの図》
明治9(1877)年
ポーラ文化研究所蔵
永嶋孟斎《新吉原三浦屋の高尾 頼兼君みうけの図》明治9(1877)年
高尾は新吉原の三浦屋四郎座衛門抱えの最高位の遊女。高尾の名は七代、十一代などと代々継承され、なかでも有名なのが二代仙台高尾。史実ではありませんが、仙台藩主伊達綱宗が見受けをして殺したとの物語があり、歌舞伎や浄瑠璃で「高尾物」と呼ばれてしばしば上演されました。このシーンは伊達綱宗が高尾を身請けする時に、高尾の体重と同じだけの小判を支払ったという逸話を描いたもの。天秤の片方に高尾、もう一方に千両箱が載せられています。高尾は龍虎模様の打掛に紅葉模様の帯。髪形は遊女が結う横兵庫で二枚櫛を挿しています(一枚はお客のための櫛という意味合いがあります)。まばゆいばかりの遊女の装い、遊郭の情景が描かれています。

三代歌川豊国
《江戸名所百人美女 洲崎》
安政4(1858)年
ポーラ文化研究所蔵
三代歌川豊国《江戸名所百人美女 洲崎》安政4(1857)年
洲崎(すざき)は江戸時代にできた埋め立て地で、景色がよく、深川八幡に参詣する人々の多くが、ここ洲崎まで足を延ばしたそうです。黄八丈の小袖に紫色の梅模様の中着を重ね着した若い女性は、元旦の初日の出を拝みに来たのでしょう。黒地に赤い蝙蝠(こうもり)の丸紋が散らされた帯を締め、赤いしごき帯で小袖の裾を端折(はしょ)ってます。眉も剃らずお歯黒もしていないことから、未婚女性とわかります。御高祖頭巾(おこそずきん)を被り、首に手拭を巻き、手は袖の中という、完全防寒のスタイルです。重ね着や帯のコーディネートがかわいらしくハイセンスですね。

実物の化粧道具・装身具・衣装をつうじて、江戸のよそおいの文化を立体的にみる

違鷹羽根紋蒔絵櫛台
江戸時代後期
(櫛台)24.3×36.3×高39.0
ポーラ文化研究所蔵
浮世絵美人画とあわせて、江戸〜明治期にかけて実際に使用されていた化粧道具や装身具、衣装なども、ポーラ文化研究所、国立歴史民俗博物館の所蔵資料から約100点をご紹介します。
いずれも、生活用具としての機能性を基にしながらも、美しい装飾が施され、生活を彩っていた様子が伺われます。木、象牙、金属といった多彩な素材を使用して、漆に蒔絵、透かし彫り、彫金などの技法を使った美しい細工が施されています。衣装では、織、刺繍、絞り染め、描き絵などそれまでの染織技術が総合された上に、新たに友禅染という多色模様染技術が開発されて華麗さが増しました。文様では、松竹梅や鶴亀、「難を転ずる」が転じた南天模様などの吉祥文様のほか、花鳥風月や物語に取材したもの、光琳模様など多彩を極めました。
《違鷹羽根紋蒔絵櫛台》には、鷹の精悍さが武士道に通ずるとして大名や旗本に好まれた家紋である「違鷹羽根紋」が描かれています。武家など上流階級の女性が使用したものでしょう。眉化粧のための墨入れやへら類のほか、櫛、化粧香合、鬢水(びんみず、整髪料)入れなど様々な道具が納められています。

菊紋入り十種香箱
江戸末期〜明治時代
(香箱)20.4×33.0×高26.9
ポーラ文化研究所蔵
《菊紋入り十種香箱》
江戸時代には香(かおり)の身だしなみだけでなく、趣味・教養としての組香(くみこう)が庶民や遊郭でも行われるようになりました。十種組香は、左右二組に分かれて十種の香を聞き分けて(嗅ぎ分けて)優劣を競うゲーム。
この香箱は、桐と思われる白木で作られ、胡粉盛り上げ彩色により菊花の瀟洒な装飾が施され、十種組香に用いられる50点近い香道具が収められていました。
本展では競馬香など収められていた香道具をできるだけ多く展示しておりますので、どうぞお楽しみください。
 
鳥籠付きびらびら簪(部分)
江戸後期)
各5.5×20.0
ポーラ文化研究所蔵
《鳥籠付びらびら簪》
日本髪の髪飾りは、もとは、髪を結うための道具でした。櫛は髪を梳く道具、笄(こうがい)は髪をかき分け、巻き付けるヘアスティック、簪(かんざし)は髪を留めるヘアピンでしたが、江戸時代には結髪の進化とともに、それらの装飾性がまし、日本髪を飾る装飾品としての役割が大きくなりました。
中でも華やかなのが、びらびら簪(かんざし)で、江戸時代後期の天明期(1781〜89年)頃から流行した若い女性のための簪です。金属の鎖や下げ飾りがついたかわいらしい簪で、歩くたびにゆれて下げ飾りがこすれて微かな音がします。本作では鳥籠の部分がくるくると回る仕掛けとなっており、また、下げ飾りには鈴が付いており、さらに遊び心に満ちた趣向が凝らされています。


金属製鍔型柿実文様紅板.紅筆.刷毛
江戸末期〜明治時代
(紅板)5.5×4.8
ポーラ文化研究所蔵
《金属製鍔型柿実文様 紅板、紅筆、刷毛》
紅板は携帯用の紅入れ。簡易な二つ折りのものと薄い箱型のものがあり、後者は金属、漆、象牙など各種の工芸素材と装飾技法を凝らした豪華なものが作られました。本作は、刀の鍔(つば)、柄(つか)、縁頭(ふちがしら)、小柄(こづか)に倣ったデザインになっており、制作に用いられた技法・材質(鮫皮や彫金技法など)も刀装小道具に準じています。鍔の形のものが紅板で、蝶番で開閉するようになっており、その中に紅を入れて使用しました。本作は、紅板、紅筆のほか、白粉刷毛がセットになっています。


染分縮緬地流水紅葉秋草模様友禅染小袖(左)
染分綾地秋草千鳥模様友禅染小袖(右)
江戸中期 168.0×185.0
国立歴史民俗博物館蔵
野村正治郎衣装コレクション
《小袖屏風》
染分縮緬地流水紅葉秋草模様友禅染小袖(左)
染分綾地秋草千鳥模様友禅染小袖(右)
近世初期の「誰が袖屏風」の造形にならい、小袖裂(こそでぎれ)を押絵貼にした通称「小袖屏風」は京都の美術商・野村正治郎(1879〜1943年)によって制作されました。染織品は脆弱で衣料として実用に供されるものであるため、完全な形で残されることが難しく、端切れとなった小袖でも美術的・歴史的価値に相応しい保存・公開方法として考案されたのが「小袖屏風」でした。辻が花・縫箔から友禅染にいたる小袖の諸相を網羅しています。
本展では国立歴史民俗博物館が所蔵する百隻の小袖屏風から6隻を借用し、前期(〜11月25日)・後期(11月27日〜)に分けて3隻ずつご紹介します。
本作は後期に展示します。


縹縮緬地鷹狩模様染縫振袖
江戸後期 身丈165.5×裄61.5
国立歴史民俗博物館蔵
野村正治郎衣装コレクション
《縹縮緬地鷹狩模様染縫振袖》
女性の衣装は、江戸時代までに従来の大袖(おおそで)系の重ね着(十二単(じゅうにひとえ)など)から簡易な小袖(こそで)形式へと変遷し、現在の着物の原型が形成されました。江戸時代に至り、友禅染の発生など染織技術の発達と相まって、小袖という一枚の画面の上に豊かな絵模様が自由自在に施されるようになりました。
本作は武家風小袖の作例で、雪原での鷹狩をテーマとした意匠を友禅染と金糸を交えた刺繍により豪華・勇壮に表現しています。裾の近景を大きく、上部の遠景を小さく描き、広大な空間を表現。まさに一枚の絵を見ているようです。
本展では国立歴史民俗博物館が所蔵する小袖6領を借用し、前期(〜11月25日)・後期(11月27日〜)に分けて3隻ずつご紹介します。
本作は前期の展示です。

関連イベント

関連イベントに参加される方は入館当日の展覧会のチケットが必要です。

´△六前申込が必要となります。申込〆切日までに専用申込フォームからお申込下さい。

)榲鹸峠ぜ圈β偲長Щ匯瓩砲茲襯好撻轡礇襯ャラリートーク ※申込不要

日時:11月2日(土)10:00〜、11月23日(土)11:00〜
講師:村田孝子(ポーラ文化研究所シニア研究員、本展監修者)
会場:展示室内

▲錙璽ショップ「豆皿をつくろう」 ※要事前申込(当日参加もできます)

陶芸用の転写紙を使って、和柄の豆皿を2枚つくります。
※焼成後、着払いにて発送します。
日時:11月9日(土)10:30〜12:30、13:30〜15:30
講師:佐々木しず(陶芸家)
参加費:1,000円(税込)
会場:2階ホール
申込方法:当館ホームページの申込専用フォームまたは往復はがきにて、10月26日(土)までにお申込ください。当日参加も受付けます。

ワークショップ「うるしと箔押しの体験」 ※要事前申込

うるしをすりこんだ木地に純金箔や純銀箔を貼って、オリジナルの小物をつくりましょう。
小皿、お箸、アクセサリーの中から、つくりたいものを当日選べます。

日時:11月17日(日)A.10:30〜12:00、B.13:00〜14:30、C.15:00〜16:30
講師:吉田真菜(漆作家)
対象:小学校高学年以上
定員:各回6名
参加費:1,000〜1,500円(税込、つくるものや個数によって異なります)
会場:地階講座室
申込方法:当館ホームページの申込専用フォームまたは往復はがきにて、A、B、Cの日程のうち第3希望までをお書き添えの上、11月3日(日)までにお申込ください。代表者とそのご家族の方あわせて2名様まで同時申込を受け付けます。申込多数の場合は抽選。

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日時:11月16日(土)13:30〜15:00
講師:横山勝彦(呉市立美術館長)
定員:60名
会場:地階講座室

ッ甘学芸員によるギャラリートーク ※申込不要

日時:11月10日(日)、12月1日(日)各14:00〜(約60分)
会場:展示室内

「浮世絵にみる江戸美人のよそおい展」特設ミュージアムショップ

ミュージアムショップ全景
ポーラ文化研究所の書籍類と当館発行のブックレット(上右端)
化粧筆(有限会社竹田ブラシ製作所)
このショップでは、展覧会に関連してバラエティーに富んだ素敵な書籍・品物を販売しています。
まず、本展に特別協力いただいているポーラ文化研究所による化粧や装いの文化に関する研究結果をまとめた書籍、CDブック、DVDを販売しています。これだけ、同研究所の書籍類が揃う機会はありませんし、なかでも『浮世絵にみる江戸美人のよそおい』は本展に出品されている浮世絵すべてについて詳細な絵解きをしたもので、おすすめです。そして、これらの書籍類をお買い上げいただいた方には、本展出品の化粧道具・装身具・衣装をご紹介するブックレット(B5判、32ページ、カラー印刷、呉市立美術館編集・発行)をプレゼントしています。
また、有限会社竹田ブラシ製作所(同社は、なでしこジャパン国民栄誉賞の副賞を製作されました)の化粧筆や、若手作家として活躍中の陶芸家の佐々木しずさん(呉市)や漆芸家の吉田真菜さん(広島市)による作品・アクセサリーなど、普段は手に入りにくい、個性と魅力ある商品を提供しています。
そのほか、絵葉書やクリアフォルダー、カレンダーなどを販売中です。
この機会にぜひ、ご利用ください。
陶芸家・佐々木しずさん制作の器・オブジェ類
漆芸家・吉田真菜さん制作のアクセサリー
漆芸家・吉田真菜さん制作のアクセサリー