呉市立美術館
近現代の美術作品を所蔵し特別展も開催|呉市立美術館

開館時間

●10時〜17時
(入館は16時30分まで)

休館日

●毎週火曜日
(火曜が祝日・振替休日の場合は、その翌日)
●年末・年始(12月29日〜1月3日)
※展示替え等で臨時に休館する場合があります
 
は休館日
 
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リモートミュージアム 呉市美コレクションであそぼう!

(その3)まとめ

呉市立美術館では、オンラインコンテンツとして、所蔵作品をおうちで楽しむ「リモートミュージアム 呉市美コレクションであそぼう!」を開催しています。

今後も毎月1点のペースで、作品をご紹介していく予定です。

「リモートミュージアム 呉市美コレクションであそぼう!」(その3)

内容:呉市立美術館の所蔵作品を使ったクイズ(絵解き)
参加方法:Google Formを使ったアンケート回答
参加受付期間:8月19日(水)〜9月23日(水)

第3回のお題は、芥川永の《帰る人》です。

芥川永《帰る人》
1964年(2001年鋳造・設置) ブロンズ 180.0×42.0×82.0cm
呉市立美術館蔵
小谷典臣氏寄贈

Q1:作品をよく観察してください。像の見た目や、ポーズ、特徴的な部分などについて、自由に記述してください。

・猫か子供を背負っているように見える。足が細くてきれい。(かっぱ さん)

・人間の表情がつくられていない、小顔で足が長くスタイルがいい、裸、キツネをおんぶしている、キツネと人の肩が一体化している(じゅり子 さん)

背の高いやせ型の男性が、子どもを背負って歩いています。子どもは男性の左肩に頭を乗せて、彼にぴったりとくっついています。よく見ると、子どもの頭部には動物のような耳が生えていて、きつねの姿になっています。
この当時の作者は民話や民俗学に関心を持っており、作品にもしばしば物語的な要素が見られます。民話や伝承でのきつねといえば、色々なものに化けて人を騙したりするいたずら好きのイメージがある一方で、神様の使いとしても扱われています。

Q2:《帰る人》には、顔の表情がありません。彼らはいまどんな気持ちで、どこへ帰っているのでしょう?あなたの考えを、自由に記述してください。

・迷子になった猫か子供を長い時間探し回ってようやく見つけた。お互いくたびれ果ててしまっているので表情がない?家にたどり着くまでまた長く歩かなければならないし・・それでも、夕日に向かって前向きな気持ちですたすたと歩いて帰る。(かっぱ さん)

・人間もキツネ(人間になついている)も夕日を見つめながら、彼らの住む村へ帰っている。疲れてはいるけれど、心穏やかな気持ちでゆっくりと家路へ向かっている。(じゅり子 さん)

顔の表情が刻まれていないぶん、2人の関係や置かれているシチュエーションへの想像がふくらみますね。しかし、きつねをおんぶする男性と、彼にしっかりくっついているきつねの様子を見ると、前向きなイメージや2人の穏やかな関係が見てとれます。
また、お2人の回答の中には「夕日」が共通して含まれています。本作が美術館通りに設置されたのは作者の死後ですので、作者の意図と合致しているのかはわかりませんが、現在この像は西側を向いて設置されています。

Q3:屋外に彫刻が設置されている例は全国各地に見られますが、あなたが今まで見た中で印象に残っている屋外彫刻にはどのようなものがありますか?自由に記述してください。

・たしか呉市美術館外の子供の仏像?が走っている作品。神戸市のマラソン発祥の地記念碑。神戸市のテーラー発祥の地記念碑。こうして考えてみると、屋外の像が彫刻なのか銅像など別のものなのかよく覚えていないものがほとんどでした。(かっぱ さん)

・ひろしま美術館の敷地内にある(あった?)赤くて大きい彫刻。抽象的な形で、かかしみたいな不思議な作品でした。(じゅり子 さん)

当館に至る坂道、通称「美術館通り」には、現在19体の彫刻作品が設置されています。呉市内では、呉駅前や中通などにも彫刻像があります。何かの記念像であったり、町の景観を良くするためであったり、屋外彫刻は日本全国のいたるところで見られます。どこかへ旅行されたときには、ぜひその町の彫刻たちにも注目してみてくださいね。

リモートミュージアムの感想や、作品に関する質問などあればご記入ください。(自由回答)

・このような企画に参加するのは初めてです。普段考えないことを考えることができました。入船山記念館へ行く際に呉市美術館の横を通りました。時間が無くて入館できなかったので、次回は是非訪問したいと思います。(かっぱ さん)

・何回か行っていますが、この作品があることに気付きませんでした。反対側からの写真があれば見てみたいです。(じゅり子 さん)

当館ウェブサイト内の「美術館通り 野外彫刻のご紹介」ページにて、各彫刻の色々な角度からの写真を見ることが出来ます。ぜひチェックしてくださいね!

「リモートミュージアム 呉市美コレクションであそぼう!」
(その4)は10月中に公開予定です。

公開しましたら、ウェブサイトやTwitter、呉市文化振興財団の情報誌「フレンドリーニュース」などで告知いたします。
皆様どうぞお気軽にご参加ください!

芥川永(あくたがわ・ひさし、1915-1998)

芥川永は、1915(大正4)年、愛媛県周桑郡庄内村(現・東予市)に生まれました。少年期は陸上競技に打ち込み、いつ美術に関心を持ったのかは明らかではありませんが、1932(昭和7)年に上京し、デッサンを学び始めます。翌1933(昭和8)年、東京高等工芸学校(現・千葉大学工学部)彫刻部に入学しました。
在学中に造型彫刻家協会(Z.T.K)設立に参加し、柳原義達、舟越保武、佐藤忠良らと面識を得ました。卒業後は、新制作派協会への作品発表を中心に活動し、1943(昭和18)年の第8回展で新作家賞、1948(昭和23)年の第12回展で協会賞を受賞。翌年の第13回展で、会員に推挙されました。
1967(昭和42)年、芥川は広島の比治山女子短期大学教授に就任し、創設された美術科の彫刻の指導にあたることとなります。1970年には、被爆25周年事業として広島県被爆教師の会が犠牲となった児童と教師のための慰霊碑建立を決め、芥川に制作が依頼されました。翌年、《教師と子どもの碑》が広島市平和記念公園に設置されました。その後も亡くなるまで、広島で彫刻家としての活動を行い、後進の育成にも尽力しました。