呉市立美術館
近現代の美術作品を所蔵し特別展も開催|呉市立美術館

開館時間

●10時〜17時
(入館は16時30分まで)

休館日

●毎週火曜日
(火曜が祝日・振替休日の場合は、その翌日)
●年末・年始(12月29日〜1月3日)
※展示替え等で臨時に休館する場合があります
 
は休館日
 
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コレクション展
呉美の陶芸作品そろい踏み + α 

2021年12月11日(土)〜2022年1月23日(日)

呉市立美術館が所蔵する近現代の個性豊かな陶芸作品たちの晴れ姿を
ご覧あれ!
さらに「+α」として新進陶芸家の新作を招待展示。
作品との出会いをお楽しみに!

日本陶芸の歴史は、16,000年前の縄文時代に作られた世界最古級の土器「縄文土器」に遡ります。
縄文土器は、壺、鉢、甕(かめ)など食料の保存や煮炊きの用具として使われたほか、土偶(どぐう)(人形(ひとがた)の土器)は精霊が宿る偶像として豊穣や多産、安泰などの祈りの対象となり、人々の心身両面を支える必要不可欠なものでした。また、桃山時代には喫茶の用具である茶陶に人間精神が表象されるようになりました。このように、日本において陶磁器は人々の生活と精神の両方に深く関わりながら制作され、その長い歴史の中で育まれた美意識や様式の多彩さは世界的にも例がないほどです。
特に芸術における、思想、感情、個性の表出を重視する近代以降では、陶芸を自律した芸術領域として独自性を確立しようとする志向が強められ、さらに多彩さを増していきました。柔軟で可変の「土」が「火」と出会う(高温で焼成される)ことにより、全く異なる物質である堅固で恒久の「陶(とう)」に変容する過程に触発され、さらに、土や火そのものに着目して、焼かない土を素材とするアンファイア(unfire)、土以外のものを焼くファイアイング(firing)など、表現のあり方が一層広がっていきました。
本展では、当館が所属する近現代の陶芸作品50点を「呉美(くれび)の陶芸作品(やきもの)そろい踏み」として「造形vs装飾」「陶芸vs彫刻」「革新vs伝統」の三部構成で、広島在住の陶芸作家、今田拓志氏の作品3点を「+α(プラス アルファ)」として加え、百花繚乱とも言える近現代陶芸の一端をご覧いただきます。
会期2021(令和3)年12月11日(土)〜2022(令和4)年1月23日(日)
開館時間午前10時〜午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日火曜日、年末年始(12月28日〜1月4日)
入館料一般300円(240円)・高校生180円(140円)・小中生120円( 90円)
※( )内は20名以上の団体料金。広島中央地域連携中枢都市圏(呉市、竹原市、東広島市、江田島市、海田町、熊野町、坂町、大崎上島町)に在住の高校生以下、呉市在住の70歳以上の方、はたちのパスポート、障害者手帳等をお持ちの方は無料(要証明書)。くれフレンドリー(友の会)会員証をお持ちの方は団体料金。
主催呉市立美術館、呉市、(公財)呉市文化振興財団
協力比治山大学
助成文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業

関連イベント

ワークショップ「陶芸でアジの箸置きを作ろう」(比治山大学連携事業)
※要事前申込/受付終了しました。

講師の今田拓志先生
小学6年生による作例
 煮干しのアジを観察してスケッチし、これをもとに陶芸用粘土でアジの形の箸置きを制作します。講師が持ち帰って乾燥させ、釉薬をかけて焼成したものを後日、送料着払いでお届けします。世界に一つだけの箸置きを作ろう!

日時: 12月18日(土) 13:30〜15:00
会場: 別館ミニギャラリー
講師: 今田拓志(陶芸家、比治山大学准教授、日本工芸会正会員)
対象: 小学生以上(小学生は保護者同伴)
定員: 15名
参加料: 1000円(入館料を含む)

楽しいワークショップの様子をダイジェストで御覧いただけます。(約2分)

ギャラリートーク

※ 会場は展示室内、事前申込は不要です。参加には入館券が必要です。

★陶芸作家による作品解説
 − 作家ならではの視点から展示作品を解説していただきます。
日時: 12月18日(土) 11:00〜(約45分)
講師: 今田拓志氏(陶芸家、比治山大学准教授、日本工芸会正会員)

★学芸員による作品解説
 − 担当学芸員が展覧会の見所を解説します。
日時: 1月8日(土)、1月15日(土)  各日11:00〜(約45分)

陶芸家・今田拓志先生によるギャラリートークの様子をダイジェストで御覧いただけます。(約32分)

関連イベントにご参加されるお客様へ
※ ご参加の際はマスクを着用してください。発熱など体調不良の際は参加をお控え願います。
※ 開催内容に変更が生じる場合があります。最新情報は当館HPまたはTwitterでご確認ください。

※新型コロナウィルス感染状況によっては、臨時休館となる場合があります。最新情報は当館ウェブサイトやTwitter(@kure_bi)等でご確認ください。

展示構成

造形 vs. 装飾 −富本憲吉と教え子たち−

和太守卑良《彩土杉文器》1981年
柳原睦夫《空の記憶》1977年
瀬戸 浩《灰釉銀ストライプ壺》1985年
陶芸家・富本憲吉((とみもとけんきち)(1886-1963)は、既存の形式や職人的な技巧を脱して、個性による独創を説き、絵画や彫刻に比肩する芸術として、陶芸の近代化を導きました。
独学で陶芸を学び、従前は分業されていた陶芸の制作工程(粘土成形から絵付け、焼成まで)を作家が一貫して手掛けることを重視しました。戦後は、いち早く京都市立美術大学(現・京都市立芸術大学)で学校教育により陶芸を教授し、多くの優れた陶芸家を育てました。
富本は、「壺は形にあり」「陶芸は究極の抽象造形」と考え、陶芸制作の基礎として「形(造形)」の重要性を説き、既存の約束事に囚われない白磁壺を創作。一方、「模様から模様をつくらじ」と、既成の模様を参照せずに自然の観察に基づく独自の模様を追求し、四弁花文や羊歯文など器表に沿う文様を創案。文様と造形の調和を唱えました。
本章では、「造形(形)」と「装飾(模様・文様)」という陶芸を構成する二大要素に注目し、富本憲吉とその弟子たちの作品により、その調和や対立、相乗効果など様々な表現のあり方をご覧いただきます。

陶芸vs.彫刻 −走泥社(そうでいしゃ)の系譜 彫刻からのアプローチ−

林 秀行《鳥の談笑》1983年
三代宮永東山(理吉)《立方体に参加する八つの直方体》1975年
 
石山 駿《痴絵図閨夢(チェスゲーム)》1977年
第二次世界大戦後、美術界は新しい時代の芸術の創出に向けて熱気がみなぎり、ジャンルを超えて美術思潮を共有し、活動の交流が行われました。
陶芸界では、思想表現への意欲が高まり、用途を捨てた純粋造形としての陶芸「オブジェ焼」が創出されました。中心となったのは、八木一夫(やぎかずお)、鈴木治(すずきおさむ)らによる京都の陶芸家集団・走泥社(そうでいしゃ)(1948-1998)。彫刻とは異なるオブジェ焼の特質を「陶器の中は空ろ」であることなど「土→成形→焼成→陶」という焼き物のプロセスに沿って思索し、焼き物ならではの独自性と表現の可能性を探求しました。
一方、彫刻界においても、イサム・ノグチのテラコッタや辻晉堂(つじしんどう)による陶彫(とうちょう)など、様々な造形素材の一つとして陶土が採用されるようになりました。陶芸家が焼き物のプロセスに沿って制作するのに対して、彫刻家は目指すイメージに素材(陶土)を沿わせて制作する点で異なります。
辻晉堂(1910-81、京都市立美術大学彫刻科教授)と八木一夫(1918-79、同科講師)が高め合ったように、正反対の造形理論を持つ陶芸と彫刻も刺激と影響を与え合いました。

革新vs.伝統 −日本工芸の二大潮流 日展系と伝統工芸展系−

財満 進《風のトルソー》1989年
古庵千恵子《聴く》2005年
黒川清雪《砕氷文青磁花入》1980年
現代日本の工芸は日展系、日本伝統工芸展系という二大潮流によって牽引されてきたと言うことができます。
日展(日本美術展覧会)の工芸は、戦前の无型(むけい)、実在工芸など工芸を芸術として自立させようする革新運動をルーツとし、個性的な芸術意欲の表出を重視したことから、芸術至上主義的傾向が日展の特色となっています。工芸分野では光風会や現代工芸美術家協会などが傘下にあり、特に後者は芸術志向の旗色を鮮明に1961年に設立されました。
一方、文化財保護の視点から1954年に伝統的工芸技術の保存と普及のために「日本伝統工芸展」が創始され、同年、技術的完成度を第一に芸術性をも重視した重要無形文化財(人間国宝)認定の制度が生まれました。
以来、革新と伝統という異なる視点から工芸美術の向上が競われましたが、工芸は素材を扱う技術力の、創造に占める比重が大きく、両者は根っこの部分で繋がっています。このほか、本展にてご紹介してきた多様な価値観からの工芸(陶芸)へのアプローチが、この分野に豊かな実りをもたらしてきたことをご実感いただけたら幸甚です。

+ α(プラス アルファ) − 現在進行形の現代陶芸 −

今田拓志氏の展示コーナー
このコーナーでは、今現在の陶芸をご紹介すべく、比治山大学准教授で日本工芸会正会員の今田拓志(いまだたくし)氏の作品を招待展示しています。今田拓志氏は1970年に岡山県津山市に生まれ、広島市で育ち、安古市高校を卒業後、東京藝術大学で三浦小平二(みうらこへいじ)、佐伯守美(さえきもりよし)から陶芸を学びました。陶芸から縁遠く窯業地ではない広島で独自の作風を築こうと、北広島町を拠点に制作しています。
オブジェと伝統工芸、クラフトの3つの分野で作陶。今回は伝統工芸に属する「をる陶」と、オブジェ「おとのかたち」を出品。前者は、平面の紙を折ることで立体が形作られるプロセスに重ね合わせて、粘土を立ち上げて立体を造形した作品です。硬質な轆轤成形に折紙(おりがみ)の彫刻が加えられることにより、フォルム全体の印象が変容しています。後者は「音」を抽象的に造形化した作品で鉄分の多い東広島市西条町の土を手びねりにより不定形で有機的なフォルムに造形したもの。複雑な内部空間が様々な音色を感じさせます。前者は作者が好む炭化焼成(たんかしょうせい)(煙を発生させて燻した状態で還元焼成)により渋い色調を示し、後者は酸化焼成(酸素を充分に供給して焼成)により明るい褐色を呈しています。
作者は、中空構造で内側と外側があり、本焼(ほんやき)(高温焼成)で堅牢に焼き締(し)めた、焼き物ならではの作品世界を追求しています。